木, 9月 21, 2017
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会長挨拶

 

 

スポーツ運動学会のホームページを訪ねていただきありがとうございます。

 

スポーツ・体育研究のなかで、「生きた人間の運動」を直接研究する唯一の領域であることを私たちは誇りにしています。この学会は、スポーツ・体育の指導実践で選手や生徒の育ちを思い遣り、その運動指導に日々苦慮されている指導者の方々と同じ立場で、実践そのものの「理」を求める努力をする研究者の集まりです。運動を科学的に研究する学会ではありません。あえて科学という表現を使うとすれば、今の科学とは異なる「もう一つの科学」と表現できるでしょう。運動学のフィールドは選手や生徒の生(なま)の感覚世界です。運動する選手や生徒は科学的思考のはるか以前にこの感覚世界で自身の身体が動けることに気がつきます。「考える」に「できる」が先行しているのです。

 

日本には「わざ」という外国語の専門語には訳しにくい独特の言葉があり、わざを持つ身体は尊敬に値すると考える文化があります。教養ある日本人はもとより、老練な指導者はこのような感覚を今でも持ち合わせています。ドイツ生まれのスポーツ運動学にはこのような日本のわざの思想と同類の地下水脈が流れています。

 

運動学は、スポーツや体育が「人間の運動」という、今までになかった視点から考え直されねばならない時代になってきていると考えています。この特異な文化領域が望ましく発展していくために。

 

2015.3

日本スポーツ運動学会

 

会長  渡辺 伸